50代までサラリーマンを続けてくると、素直な自分の気持ちを抑圧せざるを得ない状況や、代わり映えのない日常から、漠然と「変わりたい」「今の環境から抜け出したい」と思う瞬間はあることでしょう。
そのような自分の気持ちに素直になり、新しい人生を始めるために行動を起こそうとしたにもかかわらず、長続きできない方が多いのも事実。
長続きしない理由のひとつに、「イメージ先行で行動したが、自分にしっくりこない」「自分に向いていないことを始めてしまった」という、行動を起こした段階で自分に向いていない選択肢を選んでいる場合も少なくありません。
実は、私もそのうちの一人でした。「これならば自分でもできそう」という軽い気持ちから始めた内容で、思ったような収益も得られず、結果的に投げ出した経験があります。
この文章を読んでおられるあなたも、私と同じような問題を持たれているのではないでしょうか。そのようなあなたに少しでも役に立てればと思い、この文章を執筆しました。
この文章では、自分の人生の棚卸しを進めるなかで、自分に向いていることを見つける5つのアプローチについて、私自身の経験を示しつつ解説します。
ぜひ最後までお読みください。
自分の人生を棚卸しすることの大事さ

「これまでの自分から変わりたい」と考えた場合、「どう変わりたいか」のイメージを持つことが大切です。
- 数年後、自分がどのような状態になっているか
- どこで、どのような暮らしをしているか
- どのような人たちとか関わっているか
- 周りの人たちとどのようなことを語り、充実した時間を過ごしているか
このようなイメージを持つことで、将来の希望を現実化しやすくなります。
その一方で、「自分に何ができるだろうか」という、素朴な疑問が湧き上がることでしょう。これまでは、サラリーマンとして会社の看板・組織上の肩書を利用して、顧客と関わることが多かったと思います。
しかし、起業するとなると、これまでのような看板や肩書はありません。看板や肩書は自分で作り出す必要があるのです。
となると、自分ができることが何かを考え、整理した上で、具体的なテーマを見つけ出すことが重要になります。
そのヒントはこれまでの人生にあるはずです。そのための行動が「人生の棚卸し」です。
これまでの自分の人生を棚卸しすることで、自分の能力・スキル・才能・興味と呼ばれる項目を拾い出します。
とはいえ、いきなり「人生の棚卸しを始めよう」と言われても困惑することでしょう。そこで、自分史を書くつもりで、これまでの人生での経験を列挙し、それらの経験に対して、以下に示す5つのアプローチで棚卸しを進めていくことをお勧めします。
1. 周りの人から「すごい」と言われることを書き出す

皆さんは、日常の仕事のなかで「細かなデータ整理が得意」「プレゼン資料がきれいで分かりやすい」であったり、自治会等の地域活動のなかで「人の話をまとめるのがうまい」「相手を立てながら結論を誘導するのがうまい」、趣味のつながりで友人から「(特定の分野に)やけに詳しい」「(料理や歌などのスキルが)上手」といった、「周りの人から『すごい』と言われること」はありませんか。
私たちは、仕事や地域活動、家事をして生活していますが、誰もが何らかの特技を(意識せずに)身につけ、それを活かして暮らしています。
「周りの人から『すごい』と言われること」のは多くは、本人にとって、
- 特に苦労せずにできること
- 意識せずにできていること
- 気付いたらできるようになっていたこと
が多いものです。これらの自分にとって普通にできてしまうことの多くが、実は自分の強みとなっていることは多いのです。そして、そのことを自分が認識していないことが多いです。
このような自分にとって普通にできてしまうことを書き出すことで、自分はどんなことが得意か、どんなことに興味があるのか、といった、自分の強みの棚卸しをしてみましょう。
2. 「つい夢中になってしまうこと」を書き出す

1番目と関連しますが、仕事であれば、(上司に言われずとも)一手先を見据えながら行動に移せることや、誰にも頼まれていないのに、より良いものにするためのアイデアが思い浮び、深堀りしてしまうこと等はありませんか?
自分が興味を持っていることや、楽しいと思っていることは、頼まれなくても考えたり、行動したりするものです。
そのため、
- 自分がひとりでに動き出しやすいものを書き出す
- これらの共通項をまとめる
ことで、自分の中にある「やりたいこと・好きなこと」の傾向がわかります。
ひとつひとつの行動や思考が、直接仕事につながらなくても、やりたいこと・好きなことの傾向から、やりたいことのテーマを絞っていくことが可能です。
3. これまでの仕事で培った経験やノウハウを活かす

仕事とは、あなたのこれまでの生活の中で、1日の1/3以上の時間を費やしてきたものです。これまでに仕事で嫌な思いをしたり、つらいことがあったかもしれませんが、その仕事を通して、様々な経験やノウハウを培ってきたはずです。
つらい思いをしながら培ってきた経験やノウハウを使わず、全く新しい仕事を探すのは、もったいないと感じませんか。
逆に、これまで培ってきた経験やノウハウを次の仕事に活かすことができれば、これまでの仕事を続けてきたことに価値を見出だせます。
この際、これまでの経験やノウハウを軸をずらして活用することで新たな価値に繋がります。
例えば、開発部門の経験があれば、以下のような能力が含まれていると考えます。
- 開発する製品を投入する市場や顧客の課題を知る力
- 課題の解決方法を導き出す力
- 期限内に成果をまとめる力
- 顧客に新製品の提案ポイントをまとめる力
- 顧客からの(クレームを含めた)声を製品にフィードバックする力
同様に、営業部門の経験があれば、以下のような能力が含まれていると考えます。
- 製品を投入する市場や顧客を定義するマーケティング力
- 新規顧客の開拓力
- 利益を出しつつ顧客に購入してもらうセールス力
- 購入顧客をリピート客に育てていく顧客教育力
これらの力は、モノづくりビジネスをしなくとも、Webを利用した様々なビジネスにも転用することができるため、自分の経験やノウハウを改めて拾い出し、活用する視点を持つことが大事です。
4. これまでの生活の中で楽しく感じた活動や経験を拾い出す

小さい頃から最近までの日常生活の思い出や、旅行やイベント時の思い出を思い出し、自分がどのようなことに楽しいと感じてきたか、そのときの行動や経験を拾い出します。
拾い出した行動や経験を人生をかけて極めた場合、どのような世界が目の前に広がるかを想像してください。
例えば、友達とバンド活動をしていた際に、ステージ上での高揚感(楽しさを感じる気持ち)を振り返り、何が楽しかったかを思い出してみてください。
- 楽器の演奏や歌うこと
- みんなの前でなにか表現すること
- ライブの計画立案
- 仲間との練習活動
- ライブ現場の設営準備
- ライブ終了後の打ち上げ
バンド活動でのライブステージの位置付けにもよるとは思いますが、自分が楽しいと思った行動の中には必ず「自分がやりたいことの種」が含まれています。
バンド活動の楽しさを思い出したからといって、バンド活動を再開しなくても、
- 自分の思いをみんなの前で表現する
- イベントの企画
- 仲間と力を合わせて一つのものを作り出す
- プロジェクトを具体的に動かしていく
- 一つの物事を極めていく
といったように、様々な視点での選択肢が表れてきます。その中から、本当にやりたいことを選ぶことが大切です。
また、選んだことを仕事にするには「具体的にどのような価値を提供するのか」「その価値をどのようなお客様に届けたいのか」「どのようにして価値を届けられるか」、等といった、ビジネスの視点が必要となります。
5. とりあえず、興味があることを小さく試す

自分がやりたいことや興味があることが見えてきたら、小さく試すのが一番効果的です。
ものにもよりますが、大々的に進めるとリスクを恐れる気持ちが心にブレーキを掛けてしまいます。ブレーキを掛けた状態では走り出せないため、ブレーキが掛からない程度の小規模で始めてみましょう。
例えば、せどりや自分で製作したグッズ販売等の小売販売を始めたいのであれば、メルカリ等での販売経験を積むことで、
- 販売までの段取り
- セールス文の作成
- 価格設定と交渉
- 発送手続き
- 入金確認
といった、一連の販売行動を経験してください。その際、それらの行動が素直に楽しいと感じられるかを確認してください。
この際、一連の手続きの中で面倒だと思った作業について「どのように改善すれば楽になるか」といった改善方法を考えることに楽しさを感じられるかも、本格的に起業のテーマとして選ぶ際には重要となります。
私が実施した際に得られたもの

私自身もこれらのアプローチでやりたいことを書き出して行動しました。その際には、
- 文章を書くのが得意
- プレゼン資料を作るのが得意
- パソコン操作は充分できる
- インターネットの仕組みも知っている
という特長を活かして、Web上で商品を紹介し販売するアフィリエイトに興味を持ちました。
さらにブランドを構築する上では「Blogアフィリエイト」が良いだろうと考えて、Blogサイトを立ち上げ、アフィリエイトテーマもその当時流行ったビジネスに特化したもので構成しました。
しかし、結果的にアクセス数を稼ぐことはできず、途中で放棄してしまいました。その理由は、
- 独学で始めた:無料情報の範囲でしか考えず、きちんと教えてくれる方に付かなかった
- ライティングスキルがなかった:SEOを気にしすぎて書きたいことが書けなかった
- 顧客視点がなかった:商品を売る(紹介する)ということの理解が浅かった
- ビジネスを理解していなかった:選んだBlogテーマが収益性が低いものだった
といったことが挙げられます。
このアプローチは結果的に失敗しましたが、起業していく上で重要な経験を得られました。
- 独りよがりでビジネスをしてはいけないという大きな経験
- 思いつきで行動しても成果にはたどり着かないという視点
- これらの経験や視点は、行動しなければ得られなかったという痛みを伴った経験
あとで分かったことですが、「自分の気持ちを素直に表現したら、周りの方から認めてもらえないのではないか」というマインドブロックを外すことから始める必要がありました。
このマインドブロックの外し方は、以下のページに私の経験を含めて掲載しているので、よろしければご一読ください。
このマインドブロックが外れた後に、改めて「50代からの起業」へのアプローチを見出しました。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。