50代までサラリーマンを続けてくると、いままで抑圧してきた気持ちや、代わり映えのない日常に対し、漠然と「変わりたい」「今の環境から抜け出したい」と思う瞬間はあることでしょう。
そこで、新しい人生を始めるために行動を起こそうとしたにもかかわらず、頓挫してしまう方も多いのも事実。
その理由のなかで、「人生の棚卸しをしたのだが、結局、自分が何がしたいのか分からない」「自分の理想がどういうものなのか、どのようにすれば充実した気持ちになれるのか分からない」という、行動を起こした段階で動けなくなる場合も少なくありません。
実は、私もそのうちの一人でした。覚悟を決めて行動を起こした段階で徐々に動けなくなりました。
この文章では、「自分が何をしたいかわからない」原因とその対策について、私自身の経験を示しつつ解説します。この文章を読んでおられるあなたも、私と同じような問題を持たれているのではないでしょうか。
そのようなあなたに少しでも役に立てればと思い、この文章を執筆しました。
ぜひ最後までお読みください。
自分が何をしたいか分からない原因
はじめに答えを示します。
自分が何をしたいか分からない原因は、
「自分の人生を自分優先の価値観で生きてきてこなかった」
ことに他なりません。
自分の周りの人たちの顔色をうかがいながら生活している方は、自分の気持を優先せず、他者の気持ちや価値観を優先しています。
そのため、自分の本当の気持ちに素直になることを結果的に放棄してきたため、「自分にとって何が大事か」「自分は何が好きなのか」という、自分自身の価値観が構築できていない(構築し忘れている)方が多いのです。
ここでは「自分自身の価値観が構築できていない」ことに注目し、以下に整理します。
1. 自己肯定感が低い
自己肯定感が高い・低いという表現を聞くことがありますが、自己肯定感とは何でしょうか。
私の理解では、「自分にとって何が大事か」「自分は何が好きなのか」という自身の価値観が明確であり、「このことに価値を見出している自分自身にも価値がある」「このことが好きな自分のことも好きだ」と思えることです。
そのれらの考えを総合して「良いところ・悪いところを含めた、ありのままの自分が好きだ」という、自身の価値観とともに、自身の存在を認められる状態やその気持ちのことになります。
自分の能力や価値観といった特徴について「良い部分も、悪い部分も、すべて自分である」と受け入れることで、自己肯定感を高められます。
一方で、自己肯定感が低い場合、自分自身に対して否定的な感情や思考を持ちがちで、自分に自信を持てない状態にあります。
自己肯定感が低くなる理由はいくつか挙げられますが、特に、幼少期に自己肯定感を高められないと、成長後の行動や思考にも影響すると言われています。ここでは4つの例を以下に示します。
- 過度な批判や否定的な言葉の影響:特に、幼少期に両親を含めた家族から否定的な言葉を受け続けることで、自分は悪い子、ダメな子と認識し、自己肯定感を構築できない場合が多いです。
- 成功体験が少ないこと:苦労しながらも成功した経験や、成功したときに周囲の方に褒めてもらった経験が少ないと、自分の能力に自信を持つことができないため、新しいことへの挑戦を避けようとする意識が強くなりやすいです。
- 完璧主義的な考え方:自分自身の能力に対して過度な期待を持つ傾向や、自分はきちんとやらなければならないという意識が強いと、自分の失敗や間違いを許せず、自己評価を下げてしまう傾向が強い。さらに自己評価を下げたくないため、新しいことに挑戦することを躊躇することが多くあります。
- 周囲との比較による劣等感:自分は勉強ができない、走るのが遅い、我が家は貧乏など、周囲と比較することで、自己評価を下げてしまいます。
自己肯定感:自身の価値観が明確であり、自分自身の存在を認められる状態やその気持ちのこと。
2. アダルトチルドレンの経験
身近な人間関係の中で、過度に「いい子」を演じてきた場合、他者の期待に過剰に敏感になってしまいます。自分の考えや価値観よりも他者の考えや価値観を優先し続けてきたことで、自分の考えや価値観を表現できなくなっていることが多いのです。
このような状態の方に、アダルトチルドレンの要素を持つ方が多いと言われれます。
私自身の経験からも、他者優先の価値観を持っておられる方は、アダルトチルドレンの傾向が強いと感じています。自分自身を振り返ってみても、アダルトチルドレンの傾向が強いです。
なお、子どもの頃に敏感だった意識がなくても、大人になってからの環境の変化により、他者の期待に過剰に敏感になることもあります。
アダルトチルドレンの方も他者優先の価値観が強いため、自己肯定感を高められず、「自分自身に対する意識が低い」状態になりがちです。以下にアダルトチルドレンが生まれる主な理由を3つ示します。
- 親がアルコール中毒・薬物中毒などの問題がある場合:子どもは親の問題を隠すために、家庭内の秘密とともに自分の感情を抑えることが多いため、自分自身の考えや思いを素直に表現できず、自己肯定感を構築できません。
- 家庭内に暴力や虐待、過干渉などの問題がある場合:子どもは家庭内で自分自身の考えや思いを素直に行動として表現できず、自分自身を守るために偽りの自己を作り上げるといった行動を取るため、自己肯定感を構築できません。
- 家族に病気や障害の方がいる場合:家族が病気や障害を抱えている場合、子どもは家族に対する責任感や過剰な配慮などにより、成長に必要な自己肯定感を育むことができません。
アダルトチルドレン:家庭内に問題を抱えた環境で育った子どもが、成長の段階で十分な自己肯定感を作り上げられず、大人になってからも問題を抱えている方のこと。
3. マインドブロックによる思考・行動の停止
皆さんはマインドブロックという言葉をご存知でしょうか。「起業の成功要因は、マインドが90%」と言われますが、この際のマインドとは、起業活動を進めていくときの心構え・考え方・気持ちを示しています。
マインドが90%と言われる理由は、起業を成功させるために必要な正しい考え方理解し、正しい行動をし続けることが大事になりますが、その行動を妨げるようなマインドが発生すると、本人が無意識の状態で行動をブロックしてしまいます。
例えば、長年サラリーマン生活を続けてきた方が、個人起業や副業といった安定した日常に影響を及ぼすような行動をしようした場合に、行動が継続できなくなることもマインドブロックのひとつです。
具体的なマインドブロックによる影響として、以下のものが挙げられます。
- 自己否定的な思考や感情:マインドブロックがある場合、自分自身を否定的に見ることが増え、自信や自己肯定感が低下します。特に、アダルトチルドレンの資質がある方は、「自分の気持ちを素直に表現したら、周りの方から認めてもらえない」という意識が強いため、マインドブロックを発生しやすいです。
- 具体的な行動の制約:マインドブロックがある場合、自らが望んでも自分自身の能力を発揮できず、自己実現ができなくなります。また、恐怖や不安などの感情により、新しいことにチャレンジすることができなくなる場合があります。
- ストレスや不安:マインドブロックがある場合、課題に対して取り組むことが難しくなり、ストレスや不安を感じることが増えます。
マインドブロック:過去のトラウマやネガティブな体験、自己否定的な信念、不安や恐怖などにより、これまでとは異なる行動に対して、気持ちが行動に制限をかけて行動に移せなくなること。
低い自己肯定感・アダルトチルドレン気質・マインドブロックの関係と影響
自分が何をしたいか分からない原因は、自分が自分優先の価値観で生きてきてこなかったことにあり、その背景要因について示してきました。
これら3つの要因の関係性は、これまでの私自身の経験と、その際に調査した書籍等から、以下のように整理できます。
- 低い自己肯定感:自分の精神的な状態を形成
- アダルトチルドレン資質:自己肯定感の潜在的な低下要因
- マインドブロック:低い自己肯定感による具体的な妨げ要因
これら3つの関係をわかりやすくするため、ボールを転がして坂道を押し上げる際に生じる力の関係になぞらえて整理してみました。以下に段階的に説明します。
1. 現状に対する目標を定め、新たな行動を計画する
この図は、縦軸に自己肯定感、横軸に時間を示しています。
何か新しいことを始めようと考えたとき、現状に対して目標を設定します。目標を達成することで自己肯定感も高くなり、自分自身も成長すると考えます。そのため、目標は現状よりも高く位置し、成長を示すボールのサイズも大きくなります。雪だるまを転がして大きくなるイメージですね。
目標には簡単に到達できないため、この坂道を上がることで目標を達成できると考えます。計画段階では、坂道は理想状態として考えます。
現状から目標に到達するには行動が必要であり、行動を継続することで目標に到達できると考えます。
2. 具体的な行動を始めると現実的な課題が摩擦となり、行動を妨げる
新しいことを始めるにあたって、現状のボールを拡大すると、以下に示すような力がはたらき始めます。
まず、現実的な課題が生じます。未経験の分野であれば、目標を実現するための具体的な方法がわからない、方法はわかっても、慣れていないためうまくできない、本当にできるだろうかといった不安といった、実際に行動を始める上で課題が待ち受けています。
計画段階では平坦な坂道と考えていましたが、現実的な課題をでこぼこした路面で表現しています。このでこぼこした路面は、①具体的な行動によりボールを押し上げるときに生じる、②行動を妨げる摩擦と表現できます。
3. さらに行動を続けると自己肯定感が低下し、マインドブロックが発生
①具体的な行動を継続しても、②具体的な行動を妨げる摩擦力が生じるため、行動量の割に進みません。この状態が続くと「やはり自分にはできない」「自分には無理だ」といった継続する自信の低下により、③自己肯定感が低下します。
このような状態が継続すると、次第に行動を妨げる方向に④マインドブロックが発生します。マインドブロックは、自分自身の潜在意識のなかで現状維持を求める力として働くため、新しいことを始めたくないという抵抗として現れます。
4. 行動を妨げる力が合成され、具体的な行動に対して強く抵抗
①具体的な行動に対して、②摩擦力、③自己肯定感の低下、④マインドブロックの発生という反発力が生じます。これらの反発力は合成され、⑤合成反発力になります。
一方で、①具体的な行動を妨げる力に対する⑤合成反発力が強くなると、行動に対する進み方がさらに低下するため、徐々に⑥具体的な行動量が低下します。
5. 目標方向とは異なる方向に力が働き、行動が停滞・中断
⑥具体的な行動量と⑤合成反発力により発生する、⑦行動により生じる力は、目標方向とは異なる方向に働くため、結果的に行動が停滞し中断します。
6. 考察
ここまで、自分が何をしたいのか分からない原因として、「自分自身に対する意識が低い」という視点から説明してきました。ここで、私の実体験とそれを解消するために書籍を中心とした調査結果に基づき、低い自己肯定感とアダルトチルドレン気質が誘発するマインドブロックの発生メカニズムについてまとめます。
- アダルトチルドレンの形成:幼少期の家庭環境により、アダルトチルドレンとして成長することで、誰かを喜ばせる、誰かの役に立つという価値観での行動を優先させるようになります。
- 低い自己肯定感の潜在的な形成と強化:他人優先の価値観にしたがって生きてきたことで、自分の意思や価値観に自信が持てず、潜在的に自己否定の感情が強くなり、結果的に自分優先の価値観を持つことが不安になります。
- マインドブロックによる思考と行動の停止:自分のなかで新しいことを始めたいと思ったとしても、潜在的に自己否定の感情が強いため、行動に自信がなく、傷つきたくない、失敗したくないという気持ちを優先して、具体的な行動ができなくなります。
つまり、マインドブロックは、アダルトチルドレンの形成と、低い自己肯定感の潜在的な形成と強化による結果であり、「変わりたくない」という自己表現にほかならないのです。
そのためには、アダルトチルドレンの解消と潜在的に低くなった自己肯定感を高めるという、2つのアプローチにより、自分優先の価値観を再構築していく必要があります。
自分優先の価値観の構築手順1:過去の自分をいやす
潜在的な自己否定感を和らげる方法として、これまでの自分を少しずつ認めることで過去の自分をいやしていきます。
過去の自分を認めることで、その結果として今ここにいる自分に対して、ありのままの自分で良いことを受け入れられるようになります。
ここで、過去の自分をいやすためには、自分自身の過去の辛かったことを思い出すことから始める必要があります。そのため、心身の体調が優れない場合には実際以上に辛く感じることもありますので、実施にあたっては無理をなさらないでください。
1. 辛かったことを思い出す
これまでの辛かったことについて、可能な限り幼少期から一つ一つ思い出します。辛かったことを思い出すとともに、そのときの嫌な気持ちを思い起こさせます。それらの項目について、ひとつずノートに書き残していきます。
2. 辛かった状況の自分に対して、今の自分から優しい声を掛けてあげる
自分が辛かった状況に対して、今の自分の視点でその時の自分の考えや行動を受け入れます。
その当時の自分に対して、「あのときは辛かったね」「大変だったね」「本当はそうしたかったんだよね」「努力した結果、できなかったことは悪いことではないよ」といった優しい声を掛けることで、辛かった状況の自分自身を認め、辛い思い出・嫌な気持ちをひとつずつ昇華させていきます。
このように、自分の過去の辛かった思い出や嫌な気持ちを自ら昇華させることで、自分自身に対する自信を持てるようになり、マインドブロックを解消する効果があります。
3. 実際に体験した結果
私が小学生の頃、母親が病弱でよく入院していました。三人兄弟の一番小さい弟は、自宅で一人では過ごせないため、祖父母の家に預かってもらっていました。
我が家の家事(掃除・洗濯・料理)は、私と弟、そして父親で分担していたため、学校から帰宅後に友達と遊ぶことはできませんでした。
そのような状態であったとき、放課後に小学校の担任の先生に何気なく「自分がヤングケアラー状態であること」「友達と遊びたいけど遊べない」と伝えていました。
ヤングケアラー:親の病気などを理由に、介護や家事を日常的に担当し、自分がいなければ家族の生活が実質的に成り立たない環境にいる子どものこと
その先生は、近所に住んでいる友達に対して「遊びに誘って欲しい」と伝えてくれたらしく、翌日、自宅に友達が遊びに誘いに来てくれました。
その時の気持ちは嬉しかったのですが、家事をやっている最中だったため、遊ぶことができず、友達に感謝を伝えつつ、今は一緒に遊べないことを伝えました。
このときの自分に対して、「本当は遊びに行きたかったね」「友達が遊びに誘いに来てくれて嬉しかったね」「友達を遊びに誘ってくれるように配慮してくれた先生にも感謝だね」と声を掛けました。
すると、自分の胸がジーンと熱くなりました。そして、熱くなった後に胸のなかがスッとクリアになり、肩の力が抜けたことを覚えています。
多くの方にとって、この話の印象としては「小学生の頃の小さな体験」のように思われるかもしれません。しかし、私自身にとっては「非常に大きな体験」でした。
そして、大人になったいま、そのことを思い出したことで「救われた気持ち」になった自分がここにいます。
私は、家族に対する責任感や、周りの方に知られて特別視されたくないという理由から、友達には直接話したことはありませんでした。
そして、いつしか「自分の本当の気持ちは誰にもわからないし、伝えても無駄」と思っており、自己肯定感を高められる状態ではありませんでした。
そのようななかで、「遊びに誘ってほしい」といってくれた先生、そして、実際に遊びに誘ってくれた友達には、いまだに感謝の気持ちが大きく、それらのシーンを頭の中でイメージを明確に再現できます。
自分優先の価値観の構築手順2:両親との関係を再構築する
ここでは、アダルトチルドレンの解消法として、「鏡の法則」に基づいた、両親との関係を再構築するアプローチを紹介します。「鏡の法則」は、インターネットで無料版が公開されていますが、完全版として書籍としても販売されています。
なぜ、両親との関係を再構築する必要があるのでしょうか。「自分優先の価値観」に対する価値観は、「他者優先の価値観」です。他者優先の価値観とは、自分の考え方・意志よりも、周りの人に求められたものを優先するという価値観です。
このような他者優先の価値観が強くなった背景として、幼少期に自分の気持ちを素直に表現できない環境で成長したため、自分の気持ちに気づくことが難しくなったことが主な要因として挙げられています。
つまり、幼少期の環境であなたとの関係性が強い他者といえば、多くの場合、両親ではないでしょうか。まさに、アダルトチルドレンの形成と同様のメカニズムですね。
「鏡の法則」は読み物としては面白いのですが、実際に行動しようとすると、なかなかエグい要素が多く、全ての方が実行できるとは思えません。
私もそのまま全てはできませんでした。私は、以下に示したような若干のアレンジを加えたうえでワークを実施しましたが、大きな効果が得られましたので、ご紹介いたします。
なお、すでにご両親が亡くなられている方もおられるかと思いますが、その場合には「自分自身の中の両親という存在との関係を再構築する」と読み替えてもらってワークを実施すれば、同様の効果はあります。
概要:両親の立場で自分との関係を見直す
他者優先の価値観が構築されるには、単に環境によるものではなく、その環境での行動・経験を通じてその人の価値観を構築していきます。この際、鏡の法則では「自分がされて辛いことを自分が相手にしている」と考え、「多くの人間関係に関する問題は、自分と一番身近な両親との関係に遡ることができる」というのが基本的な考え方です。
そのため、自分と両親との関係を再構築すれば、自分の身の回りの人間関係の多くのものがひとりでに解決していく、というものです。
つまり、両親との関係が正常化すると、第三者に対して接するときの考え方、感じ方が変わるため、それが相手に伝わることで関係性が正常化するというものです。故に「鏡の法則」と呼ばれるのでしょう。
ここでは、あなたとの両親との関係性や、両親の立場で自分との関係を見直すための2つのアプローチがあります。
ひとつは、あなたが両親に対する思いを放ち、直接両親に受け止めてもらわずとも、両親の立場に立って考えることで、気持ちを軽くすることができます。
もうひとつは、あなたが両親にしてもらって嬉しかったこと、感謝することを書き出すことで、両親への感謝の気持ちを思い出します。以下に実際の私のワーク例を用いながら説明します。
1. 両親にして欲しかったこと・して欲しくなかったことを書き上げる
両親にあなたがしてほしかったこと・してほしくなかったことを列挙します。
左側に「あなたがしてほしかったこと・してほしくなかったこと」、右側に「当時の両親の立場での謝罪」を記載する表を用意します。
私の場合には、「完璧主義」という価値観がマインドブロックの原因と特定し、その背景には、父親との関係があることが分かりました。父親は「自分の意見・考えが絶対に正しい」と言うタイプで、私の希望や要望を受け入れることはありませんでした。
そのような父親と反発しながらも「自分が我慢すればよい」という自己犠牲の精神を構築し、その状態を正当化するため「周りの期待に応えることが自分の活動エネルギーになる」という価値観を作り上げました。
完璧主義:何事も完璧にこなさなければならない、という強迫観念に近い価値観による考え方や行動のこと。「周りの期待に応えるためには、より完璧を求める必要がある」という考え方が根底にある。自分よりも他者を優先する価値観により生じており、自己肯定感が低いアダルトチルドレンの特徴のひとつ。
小さい頃の環境での父親に対して、20個ほど大きな項目を挙げ、当時の父親の立場で自分に対して謝罪の気持ちを整理しました(ここでは、分かりやすい内容のものをいくつか示します)。
両親にあなたがしてほしかったこと・してほしくなかったこと | 当時の父親の立場での謝罪 |
小さい頃に親の言うことを聞かなかったときに暴力を振るってほしくなかった。 | 自分自身、あれが教育だと思い込んでいた。カッとなると気持ちに余裕がなかった |
小さい頃からきちんと話を聞いてほしかった。 | 話を聞いたら負けだと思っていた。結局、自分の親と同じことをしてしまった。 |
小さい頃から父親の趣味に付き合わされたくなかった。 | 一人では寂しかったから誘っていた。そんなに嫌だとは思っていなかった。 |
… | … |
2. 両親にしてもらって嬉しかったことを書き挙げる
両親にしてもらって嬉しかったことを列挙します。
上記のしてほしかったこと・してほしくなかったことだけでは、両親に対するうらみ・つらみばかりを思い出すことになるため、精神的に参ってしまいますし、両親の顔を素直に見れなくなってしまいます。
そのため、両親にしてもらって嬉しかったこと・感謝していることを列挙することで、両親の自分に対する愛情、両親に対する感謝の気持ちを思い出します。私の場合は、特に父親に対して10個ほどの項目に整理しました(ここでは、分かりやすい内容のものをいくつか示します)。
両親にしてもらって嬉しかったこと・感謝していること |
小さい頃から新しいもの・未知のものへの興味をもたせてくれた(基本的な価値観は今も残っている) |
母親の入院の際に家事全般を教えてくれた(今でもその経験は活かされている) |
… |
3. 両親に手紙を書く
実際の「鏡の法則」では、「原因となった相手に手紙を書き、その手紙を相手に電話で読み上げる」という行動が最後の仕上げとされています。全ての方ができればよいのですが、私自身もそこまではできませんでした。また、すでに両親が他界されている方にとって、実際に電話をして手紙を読み上げることはできません。
しかし、上記の2つのワークシートを整理した上で、相手に手紙を書くことだけでも、十分効果があります。心を無にして、枚数は気にせずに手紙を書いてください。多くても少なくても、気持ちがきちんと入っていれば構いません。
私は、A4で1ページ程度の分量を書きました…ここでの内容の開示は控えさせていただきます。
私の体験:一連のワークから得られたこと
私の場合には、「完璧主義」という行動様式がマインドブロックの鍵であることを特定し、両親との関係性についてアプローチしました。これらのワークを始めてから終了するまで、1週間程度掛かっています。
その理由は、ワークを進めていく中で、自分のメンタルブロックが破壊される際の副反応に近い症状(頭がボーッとする、頭痛が治まらない、下痢が続く、など)が発生したためです。そのため、1日では完了までたどり着けなかったのです。
ワークの後は気持ちはだいぶ軽くなり、周りの人から「雰囲気が変わった」「雰囲気が柔らかくなった」と言ってもらえました。しかし、当の本人は2,3週間近く、胸の中に大きな穴がポカーンと空いたような気分でした。
この空いた穴が、新しいことを始める上で必要になる「すき間」になったと感じています。
まとめ
これまでの生活から生き方を変えたいと思いつつも、「自分が何をしたいかわからない」原因と対策について、私自身の経験を示しつつ解説してきました。
自分が何をしたいか分からない原因は「自分が自分優先の価値観で生きてきてこなかった」ことにあります。その背景には、以下の3つの要素が関係しています。
- 低い自己肯定感:自分の精神的な状態を形成
- アダルトチルドレン資質:自己肯定感の潜在的な低下要因
- マインドブロック:低い自己肯定感による具体的な妨げ要因
つまり、アダルトチルドレン資質が強いことにより、自己肯定感を高められず、その状態で行動を起こすとマインドブロックにより行動が停滞する、という関係性があります。
その対策として、
- 自己肯定感を高めるアプローチ:過去の自分の嫌なことを思い出し癒やす
- アダルトチルドレン資質を解消するアプローチ:鏡の法則に沿った手順で両親との関係を再構築する
というワークを提案しました。私自身、この2つのアプローチにより、アダルトチルドレン資質の解消により自己肯定感を高めることで、完璧主義というマインドブロックを壊すことができました。
最後に、「何がやりたいのかわからない」という悩みを持った読者の方には、鏡の法則に沿ったアダルトチルドレンの解消にチャレンジしてみてください。自己肯定感を高められたら、改めて人生の棚卸しをすることで、やりたいことを見つけ出して下さい。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。